連載コラム『あんの中身はアズキでしょ』 | 栗原 靖子 …文

暑い。このコラムがアップされるときには、少しは涼しくなっているのだろうか。

この猛暑で、ちょっと外に出ただけで汗がドードーと出てしまう。汗っかきにはかなりつらい。暑いだけでなく、汗が頭からこめかみを伝ってポタリ、ポタリ。首筋はなんとなーくべちゃべちゃだし。首から上はフェイスタオルで拭いてなんとかしのいでいるが、手の届かない背中はツーと流れるのがわかる。そして、脇の下が汗ジミでかっこ悪いのなんの!

というわけで、対策としてインナーには汗を吸って発散できるものをなるべく着ることに。昨年、「スゴ衣」を買って感動し、当然今年はヘビーローテだ。同様に昨年、脇パッド部分が防水仕様になったインナーも買ってみたのだが、汗をかきすぎなのか、皮膚が弱いのか。私にはどうも合わなかった。これなら脇の下のシミが気にならないと思ったのだけど、汗がこもってしまうらしく、なんと脇の下にあせもを作ってしまった。大人になって初めてのことである。あせもは秋になっても治らず、結局病院のお世話になってしまった。

出るものはしかたない、と汗腺にやりたい放題させているわけでもない。今年は、多汗症に効くという塩化アルミニウムを含む制汗剤に新たにトライ。最強のディフェンス投入である。これ、私には効きました! 脇に塗ると1週間くらい継続してサッラサラ。どういう作用機序なのだろう。しかし、脇はサラサラでも背中や首はどしゃぶりなので全体に塗りたくりたいところだが、さすがにそれではカラダに熱がこもりそうなので、脇にとどめることにした。

とにもかくにも、自分がラクで、他人が見ても暑苦しくないよう心がけているつもりなのだが、道行く人の中には「その格好は、暑いよねえ」と同情してしまう人もいる。

夏にファッションでどうしてもブーツを履きたいのなら、それはもう本人の心意気で履けば良い(余談だけど、フローラン・ダバディさんが日韓ワールドカップでトルシエ監督の通訳をしていたとき、スーツ&ブーツでしたね。あのとき「うおぉ! ブーツだ」と思ったけれど、今や夏にブーツは珍しくなくなった)。しかし、自己主張としてのファッションではなく、やむを得ず暑い格好をしているのは、本人も苦しそうで傍から見ても良くない。

たとえばスーツ姿のサラリーマン。「着こなそう」という気概がある男性は、すっきりとしている。意地悪く「新陳代謝が悪いのでは」なんて思ってしてしまうほど、涼しげな顔をしている。そんなおしゃれな人は別として、「とりあえずスーツ」な人には、この猛暑では無理がある。

クールビズが提唱されてから、夏のビジネスウェアは軽装になってはきた。半そでのワイシャツにノーネクタイといったいでたちが多くなった。でも、これではスーツの簡略版であって、スーツ至上主義の呪縛から解き放たれていない。特に「きちんと感」を演出するときは、真夏の暑さでもスーツに頼らざるを得ない状況である。

これまで、ビジネスシーンでスーツ以外の服を着たことがないから、ワードローブが少ない、またはファッションセンスに自信がないと感じる人は多いと思う。それに、スーツの上着のポケットがバッグ代わりになっているため、上着がないと財布や名刺入れをどうやって身につけるかわからない、、、と情けないことを言っているのは私の夫である。だが、最も大きな理由は、サラリーマン社会が服装においても同調することを重んじ、周囲と違うのを嫌う風潮にあるからではないだろうか。

かつて羽田さんたちが着て注目された省エネルックは、率先して新しいスタイルを提案していたわけで、イケてたかどうかは別として、今思えばなかなか先進的なことだった。

「きちんと感」のある正式な衣服とは、そもそも長い歴史をもった衣服でなくては難しい。新しいデザインは拒否されがちだ。そこで思い切って発想を転換して、昔からある衣服で涼しいものをビジネスウェアにしてみるとか。かりゆしウェアなど、本当に良いと思う。もっともっと、社会的に地位ある人たちが率先し、社会を変えるくらいの気持ちでスーツに代わる夏のウェアを着てほしい。

かりゆしウェアのほかにも、たとえば麻の着物なんてどうでしょう? 男性なら腰で帯を締めるので、おなかのあたりが暑いということもない。たもとは短めに改良、足さばきが悪いならハカマ(これも簡単改良したもので)を履いちゃえばカッコイイ! で、足元は草履。革靴はダバディさんならOKだけど、暑そうにしているオジサンでは、足の皮膚がいったいどうなっているのか、想像するだに恐ろしい。足元を開放するだけでもずいぶん楽だと思うんだけどなあ。

さあ、日本の夏のいでたちを変えるぜよ!

klois @ 8月 17, 2010

栗原靖子
プロモーショナル・マーケター。株式会社東京ナップ取締役。
東靖光の名でいけばな作家としても活動中。