連載コラム『あんの中身はアズキでしょ』 | 栗原 靖子 …文

最近、ビニール傘を差す人が多いと思いませんか? ビニール傘は「代用品」とばかり思っていたけど、どうも以前より地位が向上しているらしい。というのも、朝からビニール傘を差す人がそれなりの割合でいるからだ。以前の感覚なら、朝からビニール傘を差すのは「傘を持っていません」と言っているようで、どこかカッコ悪かった。今はおしゃれそうな若い女性も使っているから、意識が確実に変わってきたのだろう。

ビニール傘が代用品でなくなってきた理由として、以前から言われていることは、TVでリポーターを務めるタレントたちがビニール傘を差すから、というのがある。そのほかにも、こんな理由がありはしないか(裏づけ調査をしていないので、あくまでも「……な気がする」ということで)。

 1. 昔のビニール傘より安価なものがある。→買いやすい。
 2. なのに品質や性能がアップしている。
   →便利なジャンプ傘もあるし、何度使っても壊れない。
 3. サイズバリエーションも意外に豊富。→70cmと大きめも。
 4. 一般的な傘より軽い。→持って行きやすい。
 5. さらに可愛い柄付きなども登場している。→もはや代用品ではない!

なんだか、良いこと尽くめで、「ビニール傘ですが、何か?」と言われている気がする。
そして最近では、買いたくないのに買わないではいられない事情もある。

 6. ゲリラ豪雨の襲撃。
である。

私も昨年、思いもよらぬ突然の豪雨に遭い、コンビニに飛び込んで買ってしまった。天気予報で降りそうなときは折り畳み傘を持って出るようにし、ビニール傘を買わないようにしているのに、ゲリラ豪雨はふいを突いてやってくるのだ。

ゲリラ豪雨はここ数十年、増えているという。特に都市部に頻発している。その原因は、温暖化の副作用であるヒートアイランド現象にあるという。ということは、ビニール傘を生産して二酸化炭素を排出し、温暖化でゲリラ豪雨を招き、またビニール傘が必要になり……、と悪循環にはまっていることになる。うーん、困ったなあ。なのに、自分が所有してしまうビニール傘は増えこそすれ、減りはしない状況に気づく。え? どこかに置いてくるから、増えないって? それは絶対にダメです。それこそ資源の無駄。ビニール傘をゴミ処理するにも、二酸化炭素が排出されるのだから。

まずは、ビニール傘を気軽に買うのはやめましょう。私たちがすでに持っているビニール傘は、実用面においては、いわゆる普通の傘に勝るとも劣らないのである。たぶん、問題があるとしたら、没個性、または高級感のなさ、である。没個性だから愛着もないし、他人のビニール傘と間違えるし、あるときは盗られたりもするし、簡単に捨てたりもする。ビニール傘を「マイ傘」として認識できれば、問題は減りそうな気がする。

そこで。
「ビニール傘をマイ傘に!計画」はいかが?
デザインセンスがあったりハンドメイド好きなら、ビニール傘にペイントしたりして、オリジナル傘を作ってみるとか。たとえば女子高生あたりが「かわいい力」を発揮して、「デコ傘」を流行らせてくれないかなあ。そうすれば個性的な傘になるし、けっこうゴージャス! そこまではちょっと、という人も、柄の部分にワンポイントでお気に入りのシールを貼ったりすれば楽しいし、他人との識別にもなる。ビニール傘にお別れして愛着が持てそうな傘を買うのも良いけど、それではゴミが増えるだけ。まずは持っているビニール傘を、お気に入りに変身させてみたいところだ。

さて、渋谷では、社会起業プロジェクトチームSOLが運営する「シブカサ」なるプロジェクトがある。寄付された透明ビニール傘をオシャレにデザインし、各所で無料レンタルしているので、渋谷で雨に降られたらこの傘を借りればOKという、素敵なシステムである。日本中のあちこちでこんなシステムがあれば、どんなに便利だろう。そして、日本中のあちこちで返却できればなお便利だ。これで突然ビニール傘を買うことも減る。カーシェアリングするように、傘シェアリングも悪くない。

kurihara @ 7月 22, 2009

栗原靖子
プロモーショナル・マーケター。株式会社東京ナップ取締役。
東靖光の名でいけばな作家としても活動中。